「眼鏡なしで異世界!」を読んで欲しい!
~あらすじコピペ~
帰る術も分からない異世界でド近眼の六花は顔の一部と称する眼鏡を壊されてしまった。この世に眼鏡は存在しない。何も見えなきゃまともな職につけるわけがない。だから壊した男の罪悪感を煽って責任をとってもらうことにした。絶世の美形が、震え上がる強面が、おぞましい爛れ顔が目の前にいてもお構いなし。だって見えないんだもーん。眼鏡を失った女による異世界でのド近眼事情。
*本編三十話(完結済み、番外編は不定期で気まぐれ更新。
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つまり、眼鏡なし主人公と、絶世の美形男と、おそろしい強面男と、顔面火傷男が、異世界で出会ってどったんばったん大騒ぎしながら暮らすお話。
これ、ほんっとに面白いんです!!!
以下、ネタバレあり。
怒涛のような長台詞には圧倒されるし、テンポの良い漫才のような掛け合いには笑わされる。
特に、主人公ロッカの毒舌と行動力がおもしろい。
彼女はノー眼鏡生活を余儀なくされた関係で、顔面にそれぞれ大問題を抱えた社会不適合者たちと暮らすことになる。
これが恋愛小説なら「きれいな目ね」「そんなこと初めて言われた」とかいうお決まりのパターンで、逆ハーレム展開が想定されるわけだが、彼女は違う。
彼らをやさしい言葉で癒すどころか、常識もテンプレも叩き壊す勢いで、彼らを言葉の暴力でメッタ刺しにしてくる。実にテンポ良く罵る。
でも見えてない顔面について気にしているのではない。そんなことよりお前らの言動のほうが問題だし気持ち悪いし張り倒すぞしっかりしろ、と鋭く切り込んでいくのである。
まことに素敵な主人公だ。ツンデレ乙。だいすき。
男たちの顔面問題も、生半可なものではない。
まず、アーサーはいっそ憐れなくらいの美形男。ストーカーの数と熱意ときたら生活に支障をきたすレベルで、美形に対してはかなり厳しめな自覚がある私もつい可哀想になった。いざというときは頼りになる気もするけど基本的には頭のかわいそうな女性恐怖症ヘタレ男。
ジャックは、道を歩けばモーセの十戒ごっこができる強面の巨漢で、かつ最高の癒しキャラだ。皆には怖がられている彼だが、超かわいい最年少。もうほんとめっちゃかわいい。幼児に感じるのと同種の保護欲を揺さぶられる。守りたいその笑顔。
ユアンは顔に火傷を負った仮面男。万年思春期で万年反抗期。ロッカと同じくらい口が回る繊細なネガティブ。しかも仮面にローブ姿だからどこからどう見てもいろいろ拗らせた変態。どうしよう褒めるとこ思いつかない。でもめっちゃ好き。
辛い過去、理不尽な現実、染みついてしまった諦め。
そういった重いものを、軽快でテンポの良い読みやすい文章で描いてる感じが素敵。
ロッカが怒りのパワーで突き進んでいくから、とにかく応援したくなる。がんばれロッカ、負けるなロッカ、でも無茶しないでロッカ。
しかも最後、爆発的にかわいいのがほんとツボだった。全身の血が沸騰するんじゃないかってくらいかわいかった。ギャップ萌えの極致だった。
おすすめです。
※ 画像:いらすとや